変数分離形の微分方程式

今回の内容の動画版です→変数分離形の微分方程式の解き方 

 

今回は微分方程式の話です。

中学校等でも登場する「方程式」は、例えば

\( \ \  2x+1=5 \)

のように、未知の数\( x  \)を含んだ式のことです。これを満たす\(  x \)は方程式の解と呼ばれます(上の場合は\(  x=2 \)が解)。

これに対し「微分方程式」の場合は、未知の関数\(  y \)やその導関数\(  y’ \)などが入った式から、当てはまる関数を考えていくことになります。例えば

\(  \ \ y’=4xy^2 \)

は微分方程式の一つです。この微分方程式の解は\(  C \)を任意定数として関数\( \displaystyle  y=-\frac{1}{2x^2+C} \)および定数関数\(  y=0 \)となります。今回はこの解き方を紹介していきます。

 

今回の微分方程式\(  y’=4xy^2 \)は

\( \ \  y’=(x\mbox{の式})\times (yの式) \)

という形で、変数分離形と呼ばれます。変数分離形は微分方程式の世界では最も基本的な形で、難しい微分方程式であっても、いろいろな工夫を行うことでこの形に帰着する場合が結構あります。

 

さて、変数分離形の微分方程式の解き方は次の通りです。

変数分離形

\(\ \   y’=(x\mbox{の式})\times (yの式) \)

右辺に\( (x\mbox{の式}) \)だけが残るように\(  (yの式) \)で割る。

\(\ \  \displaystyle  \frac{1}{(yの式)}\ \ y’=(xの式) \) 

両辺を\(  x \)で積分する。

\( \ \ \displaystyle \int \frac{1}{(y\mbox{の式})} \ \ y’dx=\int (xの式)dx\)

すなわち

\( \ \ \displaystyle \int \frac{1}{(y\mbox{の式})} \ \ dy=\int (xの式)dx\)

となる。あとは\(  y \)について整理すればよい。

なお、最後の変形で置換積分の公式

\( \ \ \displaystyle  \int f(x)dx =\int f(g(t))g'(t)dt \)…(A)

を使っています。この公式自体は\(  x \)の関数\( \displaystyle  y=\int f(x)dx \)を別の表し方をすることによって導かれます。すなわち\( \displaystyle  x=g(t)\)として、合成関数の微分公式から

\( \ \ \displaystyle  \frac{dy}{dt}=\frac{dy}{dx}\cdot \frac{dx}{dt}=f(x)g'(t) =f(g(t))g'(t)\)

となることから\( \displaystyle y=\int f(g(t))g'(t)dt   \)となり、(A)が導かれます。

 

では、今回の例を解いてみましょう。

次の微分方程式を解け。

\(\ \  \displaystyle  y’=4xy^2 \)

(解)

定数関数\(  y=0 \)は与えられた微分方程式を満たす。以下、\( y  \)は定数関数ではないとする。\(  y\not=0 \)のとき、両辺を\( y^2  \)で割って

\( \ \ \displaystyle  \frac{1}{y^2}y’=4x \)

両辺を\(  x \)で積分する。

\( \ \ \displaystyle  \int \frac{1}{y^2}dy=\int 4x dx \)

すなわち\( \displaystyle  C \)を積分定数として 

\( \ \ \displaystyle -\frac{1}{y}=2x^2+C\)

となる。よって\(  y \)について整理して

\(\ \  \displaystyle  y=-\frac{1}{2x^2+C} \)

となる。したがって解は

\(\ \  \displaystyle  y=-\frac{1}{2x^2+C}, y=0 \)

である。

今後、線型一階型やベルヌーイ型などもまとめていきます。今回はここまでです。

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今回の内容の動画版です↓