今回の内容の動画版→ベルヌーイ型 微分方程式の解き方
今回はベルヌーイ型と呼ばれるの微分方程式です。以前の記事で、次のことを扱いました。
[box class="blue_box" title="一階線型微分方程式とその解法"]線型一階微分方程式
\( \displaystyle y'+P(x)y=Q(x) \) …①
は、両辺に\( \displaystyle e^{\int P(x)dx} \)(積分因子という)をかけると解ける。[/box]
詳しくは以前の記事をご覧ください→線型一階型の微分方程式、積分因子をかけて解く
①の解き方を使うと、少し工夫することで次のベルヌーイ型とよばれる型も解くことができます。
[box class="blue_box" title="ベルヌーイ型の微分方程式"]\( \displaystyle y'+P(x)y=Q(x)y^n \) …②
[/box]
ベルヌーイ型は一階線型微分方程式①の形の右辺に\( \displaystyle y^n \)がついてしまっているパターンです。\( \displaystyle n=0 \)のときがちょうど①そのもの、また\( \displaystyle n=1 \)のときは変数分離形になるので以下では\( \displaystyle n\not=0,1 \)とします。
ベルヌーイ型の微分方程式②の場合、次のような工夫をすることで線型一階微分方程式①の形することができます。
まず②で\( \displaystyle y^n \)の形をなくすために両辺に\( \displaystyle y^{-n} \)をかけましょう。
\( \displaystyle \frac{y'}{y^n}+P(x)y^{1-n}=Q(x) \) …②'
ここで\( \displaystyle y^{1-n} \)を\( z \)とおきます。こうおくことで①の型に帰着されます。実際、合成関数の微分より
\( z=y^{1-n} \)から\( z'=(1-n)y^{-n}y' \)
となって②'の左辺第一項が登場して非常に都合が良いです。②'をかきかると
\( \displaystyle \frac{1}{1-n}z'+P(x)z=Q(x) \)
と、線型一階微分方程式①の形になります。方法をまとめます。
[box class="blue_box" title="ベルヌーイ型微分方程式の解き方"]ベルヌーイ型の微分方程式
\( \displaystyle y'+P(x)y=Q(x)y^n \) …②
は、\( y^n \)で両辺を割って
\( \displaystyle \frac{y'}{y^n}+P(x)y^{1-n}=Q(x) \) …②'
\( y \)の "係数" \( y^{1-n} \)を\( z\)などとおくことで一階線型①の形に帰着される。
[/box]
具体例を1つやっておきましょう。
[box class="blue_box" title="例"]\( \displaystyle y'-\frac{1}{x}y=\frac{1}{x}y^3 \)を解け。
[/box]
[box class="glay_box" ]
(解)定数関数\( y=0 \)は方程式の解である。\( y\not=0\)のとき、上式両辺を\( y^3 \)で割って
\( \displaystyle \frac{y'}{y^3}-\frac{1}{x}y^{-2}=\frac{1}{x} \)…③
とする。ここで\( z=y^{-2} \)とおくと合成関数の微分法より
\( \displaystyle z'=-2y^{-3}y' \)
となる。これも使って③を書き換えると
\( \displaystyle -\frac{1}{2}z'-\frac{1}{x}z=\frac{1}{x} \)
すなわち
\( \displaystyle z'+\frac{2}{x}z=-\frac{2}{x} \)
となる。これは線型一階の微分方程式なので積分因子
\( \displaystyle e^{\int \frac{2}{x}dx}=e^{2\log x}=x^2 \)
を両辺にかけて
\( \displaystyle z'x^2+2xz=2x \)
となる。左辺は積の微分とみなせる。
\( \displaystyle (x^2z)'=-2x \)
両辺積分して
\( \displaystyle x^2z=-x^2+C \)
すなわち
\( \displaystyle z=\frac{C-x^2}{x^2} \)
となる。あとは\( z=y^{-2} \)から
\( \displaystyle y=\pm \frac{x}{\sqrt{C-x^2}} \)
を得る。よって一般解は
\( \displaystyle y=\pm \frac{x}{\sqrt{C-x^2}} \), 定数関数\( y=0 \)
となる。(終)
[/box]関数のおきかえ\( y^{1-n}=z \)が最大のポイントになると思われ、これさえ思い出せればなんとかなりそうです。
今回はここまでです。また"微分方程式欲"が湧いたときに別パターンを扱います。
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